誰しも税金に持っていかれるお金は少なくしたいもの。
節税策と検索すれば、会計関係の法人が詳しく解説してくれています。そして、それを参考にすれば、誰でも簡単に節税することができます。
しかし、節税策として挙げられている一部のものについては
「補足がないと正しく理解できないのでは?」
「ちょっと当事者目線が欠けているのでは?」
と思えるものもあったりするのです。
節税策として妥当もの、そうでないものが同列に並べられた情報を目にすると誤解が生じてしまうこともあると思います。
ということで、今回は取り入れるべき節税策を判断できるよう、事業者の目線から節税について解説してみたいと思います!
節税になるもの
まずは文句なく節税になるものを紹介していきます。ここで挙げるものはできるならやっておくのがオススメです。
青色申告
最大で所得から65万円の控除を受けられる例のヤツです。作成する帳簿が多いのでちょっと面倒ですが、節税策としては最強なので、せひともやっておきたいところです。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険
国民年金は支払う金額が原則固定なので上記のリストには入れていないのですが、基準となる所得には影響があります。
なので、青色申告の控除で免除水準を下回れば、免除を受けることが可能になります。
小規模企業共済
小規模企業共済は小規模事業者のための退職金制度です。
最大で年間84万円まで積み立てることができ、積み立てた金額は一部の税金に節税効果があります。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
なお、積み立てたお金には毎年銀行よりも多くの利子が付与されますが、定年退職相当の年齢になったなど、一定の事由に該当しないと返してもらえません。
その事由に該当しない形でお金を取り戻そうとすると、元本割れするので預金感覚で使うのはオススメできません。
国民年金基金
国民年金基金はもらえる年金を増やせるようにできる個人年金です。
こちらも自分でお金を積み立てていく形になりますが、以下の点でお金の扱いが小規模企業共済とは大きく異なります。
- 任意で解約できない(お金は年金の形でしか戻ってこない)
- 月々の掛け金は融通が利かない(ある程度まとまったお金を毎月払うのが基本)
国民年金基金の掛け金は最大で月額68,000円、年額816,000円で、掛け金として支払った金額は税金が課税されなくなるということになります。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
なお、前述の最大掛け金額はidecoを含む他の個人年金との合算であることに注意してください。
節税にはなるけど誤解されがちなもの
続いては節税にはなるものの、少し誤解があるかもしれないものを紹介していきます。
場合によっては「こんなはずじゃなかった・・・」ということになる可能性もあるので、そうならないように確認しておきましょう!
法人化
「一定以上の収入になったら法人化した方がいい」という話は有名で、その基準について詳しく解説してくれているサイトはたくさんあります。
では、法人化すると支払う税金にはどのような変化があるでしょうか?
- 法人税
- 法人二税(事業税、住民税)
- 社会保険料
- 個人事業税
- 国民年金
- 国民健康保険
これらを加味して支払う税金が減るのかどうかは個々の状況によります。
ただ、事業を法人化すれば、計上できる経費の幅が広がるのもあり、支払うべき総税額は個人と比べ少なくなる傾向にあります(収入が一定以上なら)。
また、社会保険に加入することを逆手に取って自分への報酬を少なくすれば、社会保険料の金額をかなり低くできたりもします。
しかし、重要なのは支払う税金が少なくなったとしても、あくまでお金が残るのは「法人に」です。
と私的にお金を使ったとすれば、それは会社のお金を不正に使い込んでいることになってしまいます。
と思う人もいるかもしれませんが、税務署はそれを許してくれません。
- 使い込み分が代表者個人への報酬として認定され、通常より割増価格で課税される
- 脱税案件として裁判になれば、金融機関との付き合いが難しくなるなどの厳しい社会的制裁がついてくる
ほんの出来心であっても、制裁は淡々と進んでしまうので、そうならないためにもお金の管理は厳密に行っていきたいものです。
ということで、私的に使いたいお金はすべて会社から報酬という形にして個人にお金を移転させなければなりません。
そして、個人に移転させたお金は公的保険を除き、個人事業主だった時と同様に課税されるので、法人になったからといってその金額が大幅に下がるわけではありません。
ideco
idecoは前述の国民年金基金と同様に任意加入の個人年金です。
節税効果は確かにあるのですが、選ぶものによっては元本割れする可能性があります。
- 元本確保型・・・定期預金、生命保険など
- 価格変動型・・・投資信託
価格変動型である投資信託は他社にお金を運用を任せるもので、運用先は株や債権といった価格変動が大きいものになります。
なので気づいたら大損していた、というような展開にもなり得ます。
節税額よりも損失額の方が大きくなってしまっては本末転倒なので、そもそもidecoを使うべきなのかというところからしっかりと検討したいところです。
国民年金の前納
節税系の記事で「国民年金は前払いできるので、その金額を一括で確定申告すれば節税になる!」と紹介されているのをチラホラ見かけます。
国民年金は最大で2年まで前払いすることができ、その場合は最大16,100円納付額を割り引いてくれます。
しかし、2年分前払いすると、その後2年にわたって国民年金は所得から控除されません。つまり最初の1年目に3年分控除され、2年目と3年目は控除がゼロということになります。
基本的にそうするメリットは以下のケースを除けばありません。
ある年のみ大幅に収入が増える場合
→多くの金額を計上できれば、高い税率で持っていかれるお金が減る
翌年度以降の収入が大幅に減る場合
→非課税の場合などは所得控除を受けても支払う税額があまり減らないので、収入がある時の控除額を増やした方が良い
不動産の購入
不動産の購入にも節税効果はあります。
持ち家は減価償却の形で毎年経費計上することができます。ただし、計上できるのは経年劣化していく建物分のみです。
土地は劣化せず、価値を保ったままと考えられてしまいます。つまり減価しないので、経費として計上することができません。
一方で、賃貸の方は土地分含めた賃料を計上できるので、経費計上という側面からは賃貸の方が有利と言えるかもしれません。
なお、持ち家の場合にも経費計上できるのはあくまで事業分のみ、私生活で使用する分は計上不可なので、注意が必要です。
節税にはなりにくいもの
節税策として紹介されることがあるものの、特殊なケースでないと節税効果が全くないものもあります。
逆に損失にすらなり得るものもあるので、確認しておきましょう!
経営セーフティ共済
経営セーフティ共済は小規模な事業者が経営安定のためにお金を積み立てるものです。
節税になるのは基本的に「積み立てた金額を赤字に補填する時」だけです。
赤字にならなかった場合には解約すればお金は戻ってきますが、そのお金は収入とみなされるので、普通に課税されます。
なお、経営セーフティ共済は加入期間が40ヶ月未満だと元本割れするので注意が必要です。
NISA
NISAは少額投資非課税制度と呼ばれているものです。idecoと混同されがちですが、全然性質が違うものです。
idecoが年金関連制度なのに対して、NISAは「投資する金額が少ないなら、利益に対して課税しないであげるから、みんなドンドン投資してね!」と政府が国民に投資を促すための制度です。
通常であれば、株への投資などは利益に対して2割程度課税されるのですが、一定枠とはいえ、これがなくなるのはかなりありがたいですよね。
ただ、投資の基になるのは自身の貯蓄、つまりもう課税され終わったお金になるので、節税とはちょっと違った毛色のものになるかなと思います。
ふるさと納税
もはや知らない人はいないと言っても過言ではないふるさと納税ですが、これは税金の一部を前払いしているだけなので節税にはなりません。
というより、本来負担する必要がない2,000円を追加で負担することになるので、そういう意味では増税されているとも言えます。
ただ、ご存知のとおり返礼品をもらえるので、実質的にはプラスにできそうですね。
ちなみに、ふるさと納税の目安額を把握して寄付している人が多いと思うのですが、医療費が高額になりそうな年は注意です。
なぜなら、医療費控除で所得が減ると、ふるさと納税の限度額も下がるからです。
備品等の一括償却
10万円以上の資産は原則として耐用年数に応じた減価償却の形で経費を計上しなければなりません。
ただし、青色申告者は30万円未満の資産を購入した年に一括で経費計上できるという特例が適用されています。
これが節税方法と紹介されていることがありますが、これも国民年金の前払いと同様に経費を一括で計上すれば後年に計上することができなくなります。
当たり前ですが、経費計上のタイミングが違うだけであって、計上できる総金額は変わりません。
なので、これも特殊な状況下でなければ節税とはなりにくいものになります。
間違い?嘘?誤解されがちなフリーランスの節税策まとめ
ということで、今回はフリーランスの節税について解説させていただきました。
少しでも参考になれば嬉しいです!
では、最後に今回のまとめです!
- 会計関係企業が節税策として紹介しているものの中には、節税にならないものも含まれる場合がある
- 青色申告、小規模企業共済、国民年金基金は節税策として間違いなし!
- 法人化は節税に繋がるが、法人のお金を私的なことに使うのはNG!
- idecoは元本割れのリスクもあるので注意!
- 国民年金は翌年度以降の分を前納することで割引される
- 持ち家も家事按分による経費計上が必要なので注意!
- 経営セーフティ共済は基本的に赤字にならない限り節税効果はない
- NISAとふるさと納税は節税対策ではない
- 備品の一括経費計上による節税効果は特殊なケースのみ
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