みなさんはTOEICを受けた時に時間の不足を感じたことはないでしょうか?
受験者の大半が解き終えられないと言われる鬼門のリーディングセクション。しっかりと解答しつつ、解き終えられるレベルは900点以上とも言われています。
TOEICの公式によると、2022年のスコア分布で895点以上の人はたったの4.2%でした。
つまり、上位4.2%に入れるレベルになければ、最初から時間が足りなくなる可能性が高く、その前提で戦略を練った方が良いということが言えそうです。
しかし、TOEICのリーディングはリスニングほど小細工が通用しません。
なので、基本的にスコアを上げるためには学力を上げるしかないのですが、解法なり傾向なりにちょっとしたコツはあります。
とういうことで、今回はそういう視点からTOEICを解説していきたいと思います!
TOEICリーディングセクションの心構え
心構えというと少し大袈裟なのですが、前提としてまずリーディング全体に関わる話をしたいと思います。
冒頭でお伝えしたとおり、ほとんどの人はどう頑張っても時間が足りなくなります。この原因は読むスピードが足りていないからですが、それは一朝一夕でどうにかなるものではありません。
ですが、当日の対応次第で解く問題を1問でも多くする、ということはできます。
その方法は受験者が陥りがちな展開を回避するだけです。
全体のペースそっちのけでついつい目の前の問題に集中してしまう
→「考えれば分かるはず!」と思って難しめの問題に時間を使ってしまう
→時間が足りず、Part7の大問複数を塗り絵して帰る
ということで、塗り絵をなるべく少なくするためには、分からない問題を潔く捨てる勇気が必要です。
「少しだけ考えて分かりそうになければ、その問題は適当にマークして次に進む」というスタンスで試験に臨みましょう!
TOEICリーディング Part5のコツ
TOEICのPart5は文法問題です。
Part5の文法問題は30の出題があり、1問あたり20秒以内で解くことが推奨されています。
このとおりにやろうとすると、考えこむ時間がほぼなくなるのですが、時間的制約を考えれば実際それくらいのスピード感が求められます。
しかし、Part5に出てくる英文は短いものの、シンプルなだけに意外と考え込んでしまいがちです。
考えこむ時間が長くなると、必然的に塗り絵の数が増えるので、少しでも考える時間を短縮したいところです。
そのためには、Part5の取り組み方に関するコツや問題傾向を掴んでおく必要があります。
ピンと来た選択肢に自信を持つ
Part5の設問は選択肢が4つありますが、「これしかないっしょ」と思う選択肢がある場合にも、ついつい時間を使って慎重に確認してしまいがちです。
しかし、経験上、それで選ぶものが変わったことはありませんし、選んだものが不正解だったこともありません。
なので、自信がある選択肢はすぐマークして次の問題に挑むようにするのがオススメです。
The heavy rain ________ in flooding in several low-lying areas of the city.
(大雨はその都市の低地地域で洪水を引き起こします。)
A) result
B) come
C) focus
D) exceed
これはAの「result」が正解で、「result in」は「〜をもたらす」という熟語です。
このように知ってさえいれば即答できそうな問題もしばしば出ます。こういうものは意味が通るかだけ確認して、サクッとマークしてしまいましょう!
時には知らない単語も武器になる?
TOEICではどれだけ一生懸命勉強しても、語彙問題の選択肢を全部知識でカバーするのは至難の業です。
なので、たとえハイスコア保持者であっても知らない単語がしょっちゅう出てくるので、時には知らない単語が正答になることがあります。
知らない単語をマークするのはちょっと勇気がいりますが、スコアアップに繋がるので、うまくできるようになっておきたいところです。
こちらも例題を使って考え方を確認してみましょう!
Despite the shareholders’ request, the company refused to ___________ its research and development budget.
(株主の要求にも関わらず、その会社は研究開発予算の__を拒んだ)
A) improve(改善する)
B) appreciate(高く評価する)
C) diminish(減らす)
D) attract(引きつける)
正解はCの「diminish」ですが、これはそこまで認知度の高い単語ではないので、サッと選べる人の方が少ないでしょう。
ですが、「improve」、「appreciate」、「attract」はTOEICでは基礎レベルの単語なので、この中から正答を選べれば楽です。しかし、どれも文意とは微妙に噛み合いません。
こんな時には、意味を知らなくてもサクッと「diminish」をマークしていいわけです。
ついつい、「improveでも意味が通るかもな?」と知っている単語に寄せて考えたくなってしまいますが、文章の意味を考えて違和感があれば、切り捨てなければなりません。
なお、例題中の「despite」 は「〜にも関わらず」という意味の前置詞(接続詞だと思われがち)、「budget」は「予算」という意味の名詞です。
時を示す語句で問題を瞬殺!
時折、問題文に期間やタイミングなどの時を示す語句が入っている場合があります。
もしこの手の問題が出てくれば、チャンスです!
During the past six months, she _________ in various workshops and seminars actively organized by the company.
(過去6ヶ月間、彼女は会社が主催するさまざまなワークショップやセミナーに積極的に参加してきました。)
A) participates
B) was participating
C) has participated
D) have been participating
上記の問題の場合、文の頭に「過去6ヶ月」という期間を示す語句が出てきています。
期間を示す出来事に合致する時制は基本的に現在・過去・未来の完了形(進行形含む)になります。
選択肢を見ると、完了系で正しい形になっているものはCの「has participated」だけなので、意味を取らずとも形だけで判断できてしまいます。
ある程度のスコアを目指すのであれば、このように期間を示すワードを見ただけで正答を絞れる文法力が必要になるので、しっかりと時制の理解を深めておきましょう!
意味判断しづらい接続詞(副詞)は構造で考える
接続詞など文の繋ぎ方を試す問題も頻出ですが、日本語ベースで意味を考えると、どれが正解なのか判断しづらい時があります。
______ he is highly skilled in data analysis, his lack of experience in project management has sometimes hindered his progress in larger-scale projects.
(彼はデータ分析の高いスキルを持っている____、プロジェクト管理の経験不足が時折大規模なプロジェクトでの進捗を妨げてきた)
A) Despite (〜にも関わらず)
B) Considered (〜を考慮すると)
C) As (〜なので)
D) While(〜である一方で)
少し例文の難易度が高めですが、分かるでしょうか?
正答はDの「While」です。「while」は複数の意味を持ちますが、「〜である一方」という意味はよく知られているかと思います。
この問題は対比されているものを把握できれば簡単に解くことができます。
- 「高いスキルを持っている」という人物のステータス
- 「経験不足がプロジェクトの進捗を妨げてきた」という事実
しかし、基が英文なのでそれを日本語に変換してから考えると少し混乱してしまうこともあるかもしれません。そんな時は文の構造に着目しましょう。
例文では「高いスキルを持っている」というプラスの要素と、「経験の不足がプロジェクトの進捗を妨げてきた」というマイナスの要素が並べられています。
つまり、プラスとマイナス、逆の性質のものを繋がなければならないということになりますが、正反対の2要素を繋げるのは逆説の接続詞のみです。
ということで、「while」が逆接の役割を持っていると知っていれば、このように文の構造から正答を導くことも可能です。
「and」であれば同等のものを繋ぐ、といった形で他の接続詞でもこの考え方は有効です。
「文の接続なんて簡単だろ」と思うかもしれませんが、英文のレベルが上がったり、長くなったりすると案外混乱してしまうものです。
そういう時にこそこの考え方は真価を発揮するので、ぜひ頭の片隅に置いといてください。
知らない単語は語尾で推測!
パート5では、語源が同じ単語を並べてくるパターンが頻出です。これも形から正答を導ける場合があるので、例題で確認してみましょう。
The team worked _______ to complete the project on time.
(そのチームはプロジェクトを時間どおり完成させるために_______働きました。)
A) diligence(名詞:勤勉)
B) diligently(副詞:勤勉に)
C) diligent(形容詞:勤勉な)
D) diligency(存在しない単語)
空所抜きでも文章は成立します。また、空所は動詞を修飾しそうなので、ここには副詞が入ることが分かります。
ただ、見慣れない単語の場合はどれが形容詞で、どれが副詞で、を見分けるのがかなり難しいです。そんな時には単語の語尾に注目です。
実は語尾が「ly」である場合、その単語は非常に高い確率で副詞です。
副詞の判別ができるだけでも品詞問題は格段に楽になるので、これは絶対に覚えておきましょう!
ついでに、形容詞も以下の語尾はよく出てくるので、余力があれば憶えておくと良いと思います。
- able・・・possibleなど
- al・・・・financialなど
- ar・・・・popularなど
- ic・・・・economicなど
- ive ・・・attractiveなど
- ful ・・・beautifulなど
- ous・・・dangerousなど
特殊な形は狙われやすい!
特定の条件下で動詞が特殊な形を取ることがあります。
これは知っていないと、どうあがいても正答を選べません。そして、厄介なことに試験で狙われやすかったりするので、確認しておきましょう!
命令系動詞のthat節では動詞が原型になる
百聞は一見にしかずということで、まずは例文を見てみましょう。
The human resource manager proposed that the new recruit schedule be shared on the website.
(人事部長は新しい採用スケジュールをウェブサイトで共有することを提案しました。)
主語の「the new recruit schedule」は単数形の名詞です。
なので、普通に考えればthat節の動詞は「is shared」となりそうですが、ここでは「be shared」となっています。
このような形になる条件としては特定の動詞にぶら下がるthat節があることですが、ではその動詞とはどういうものでしょうか?
- 命令・・・commandなど
- 提案・・・suggestなど
- 要求・・・requireなど
- 主張・・・insistなど
- 決定・・・decideなど
これだけ種類があると覚えるのがちょっと大変ですが、共通点に目を向けるともう少しシンプルに考えることができます。
よく見ると、上記の動詞はどれも「考えや物事を押し付ける」形になります。
なので、省エネしたい人は「押し付けがましい動詞の後のthat節では動詞の原型が使われることがある」と考えましょう。
また、例文は受動態なので、分かりやすかったですが、そうでなければ三単現のSが外れるだけで見た目が地味なので、これも注意しましょう。
なお、that節の主語の後に「should + 原型」が来るパターンもあるようです。そっちの方はTOEICにはあまり出ないようですが、一応補足しておきます。
「使役動詞+人」の後には動詞の原型が来る
使役動詞というのは「〜させる」という意味になる動詞です。
まず使役動詞以外の形を確認しましょう。
She wants him to come back home.(彼女は彼に家へ帰ってほしいと思っている)
通常であれば、動詞+人+to 不定詞という形を取ります。しかし、使役動詞の場合はtoが入りません。
She let him come back home.(彼女は彼を家に帰らせた)
このような形になるのは使役動詞と言いましたが、実は使役動詞以外にもこの形を取る動詞が1つだけあるので、それも含めてまとめます。
- make(使役動詞)
- have(使役動詞)
- let(使役動詞)
- help(使役動詞ではない)
TOEICリーディング Part5のコツまとめ
今回はTOEICのPart5のコツを解説してみました!
思いの外長くなってしまったので、他のリーディングパートはまた別で記事を書きたいと思います。
最後に今回のまとめです!
- リーディングパートはほとんどの人が時間切れで解き終われない。
- 1問でも多く解くためには、分からない問題を素早く切り捨てるべし!
- TOEIC Part5の1問にかける目安は20秒以内
- ピンと来た選択肢はサッとマークするべし!
- 知らない単語も消去法で正答と確信できることがある
- 期間を示す語句があれば、完了形の選択肢に注目!
- 文を繋ぐ語句が意味判断しづらい時は構造で考える
- 知らない単語は語尾に注意!語尾が「ly」なら十中八九副詞
- 押し付け系の動詞の後にthat節が来たら、その中で動詞の原型が使われるかも
- 使役動詞+人の後は動詞の原型が来る
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